房総は暴風だった

雨の中、房総にお花畑を見に行った。
が、見られなかった。
ストライキで、上総一ノ宮という駅で、電車は
止まってしまった。
こんなことが、今日の今日じゃなくても、よさそう
なのに。
闇雲に電車に乗ったので、先に行けばお花畑に
出くわすのかどうかすらわからず。

とりあえず、駅を降りて周囲を歩いて見るけれど、
海に出るのも遠そうだ。それに、風が猛烈に吹いて
くる。
雨はここでは上がっているけど、雲がびゅんびゅん
飛んでいる。

なんだかむなしい気持ちになり、駅に戻る。
駅には、わたし同様、途方に暮れた人々が数人、
次の東京行きを待っていた。

特急電車に乗り、ほとんど劇的とも言える風景の
変化に見とれる。

来るときは各駅停車の電車で、横並びの席に
座っていたからか、それとも路線が違うのか、
外の様子は、よくわからなかったのだ。

のどかな田園風景から、ハイテク都市へと。

最初わたしの隣りの席は空席だった。
茂原で若い女性が座った。うとうと眠ったあいだに
彼女は仲間のところに移り、また空席に。浦安で
たくさんのビジネスマンたちが乗ってきて、一旦
出来ていたあちこちの空席が埋まった。
わたしの隣りは、クルマのディーラーか?
あからさまには見られないけど、長髪でおしゃれな
若い男のようだぞ。通路を隔てた席に座った同僚と
クルマの話をしきりとしていた。
今夜も残業だぁ、とか、あしたは渋谷行こうかなぁ
とか。「俺を癒してくれるのは買い物だけだよ」
って。
ちょっとおもしろかった。