2年分の毛繕い

昼間、夫の布団の上で、日溜まりの中、猫のナナオ
が、それはそれは念入りに、毛繕いをしていた。

思わず見とれた。

なんの脈絡もないが、突然思った。この2年で、
何が変わったか?

1998年春以降、わたしは、いい仕事に就けない
こと、父が大きな手術を受けた予後がよくないこと、
さらに、我が家の経済が回復しないことに、かなり
まいっていた。

前の仕事を辞めたことを、後悔していた。
はっきり言って、人生を間違えてしまった、と感じて
もいた。辞めたのは自分の意志なので、それを認める
わけにはいかず、悶々としていた。

いつまで経っても夢みる夢子ちゃんだったのだ。
現実は厳しかった。いくつになっても新しくやり直せる
なんて、数少ない成功者の意見に過ぎない。
それに最も苦しいのは、自分は大したものじゃなか
ったと、はっきりわかった、ってことだ。
何者かになれるかのように、根拠もないのに確信して
いたところが、まったく救いがない。

昔から甘かったが全く改善されてなかった・・・。
大体、若い気でいたが40歳を過ぎて、(独立する
ってわけでもなく)会社を自ら辞めた人間など、
負け犬だと見なすのが社会ってヤツだったんだねぇ。
わたしは、それすらもわかってはいなかった。

前向きに生きようとか、過去は振り返らないとか
夢は思い続ければ実現するとか、人は言うし、
自分でもそれがいい考えで、かっこいいように
思っていたけど、実際は、後悔ばかりで、時間が
戻ればいいなんてSFみたいなこと考えてた
腰抜け女は、誰だ?

だいたい夢っていうけど、みるなら等身大の夢みろ。

こんなにくよくよのヘナヘナなのに、
「いつも明るくって、楽しそう」とか
「チャレンジャーだね」なんて言われて、まったく
閉口したけど、要は見栄っ張りのええかっこしい
だからなんだよ。
だから人にそう見えるだけなのさ・・・

・・・などと書けるようになった、ということ。