課長に接触

締めが近いので、さらに急がしい。

あれこれ考えつつ仕事をしていたけど、このままこの状況を
黙って容認していてはいけない、という思いが強くなった。
そこで、とにかく課長に話してみよう、と決意した。

これまではあまり話したこともない。今年の春に異動して
きて、40歳くらいの、寡黙で朴訥とした男性。
早い出世らしいけど。

論理的に話すのは苦手なので、メールがいいな、と思いつつ
ふと振り返ったら、後ろの作業台のところで、課長がひとり
で書類を拡げていた。
わたしは廻りに誰もいないことを確認して、近づいていった。
「お話したいことがあるのですが」
と切り出した。すぐに、ここでどうぞ、と言われたけれど
「メールではどうでしょう?」と言ってみたら、即座に
名刺をくれた。会社のPCからなら、名前だけでメールを
送れるけど、会社でそんなことをしているひまはない。
セキュリティの面からも危険だと思うし。

彼はカンのいいヒトのようだ。

10時まで、残業しながら、どんな書き出しにしようか、
箇条書きにしようか、タイトルどうしようか、ばっかり
考えていた。