高円寺

お昼過ぎベランダに出たら、春めいて明るく、暖かかったので、
がぜん出かけたくなった。
それで、高円寺のSえ姉さんに会いに行った。

パーティーのときは、あんまりおしゃべりできなかったし。
去年いっぱいで、文具店の店長を退職して、次は英語の通訳
ガイドの試験にチャレンジするため、予備校に通い始めた
Sえ姉さん。おしゃれだしキュートだし、50歳にはとても
見えない。27歳のご子息がいるようには、とても見えない。
84年に前の会社に入ったときの同期。
あのとき、彼女の息子さんは小学生だった。
わたしは超ビンボーで手づくりの服を着てたの。今どき珍しい
素朴な子だと思ったわ〜、なんて言われて、恥ずかしくて、
赤面。それはもう、忘れて、お願い。

昔話に花が咲いて止まらず、涙が出るほど笑った。
大きなプロジェクトだったけど、み〜んなシロートでさ、
へんてこなことばっかり。
楽し苦し恥ずかし経験のてんこ盛りだったもの。
おばあちゃんになっても、この話で盛り上がること間違いなし。

記憶って、不思議。あの日々が、まるで昨日のことみたい
なんだもの。
そのくせ、おととしくらいにあったいやなこと(思うにまか
せぬ就職とか)は、ずっと昔みたいに感じる。いえ、それ
どころか、なかったことにすら、なりそうな気配。