クールダウン

山田風太郎「戦中派虫けら日記」を読む。
20歳前後でこの思索の深さ。
空襲が続き、同級生たちが戦地に赴くなかで、自分たちの体験を
稀有なことと認識している。また、戦下にもかかわらず淡々とし
たユーモアもあり、胸が締め付けられた。

母が、戦争が終わったとき何より嬉しかったのは、空襲がなくなること
だった、と言っていたのがよくわかった。

電気をつけて日常生活をすることができない。寒くても、火鉢など
おこすことができない。そうかと言って眠ることもおちおちして
いられない。
では思索に耽るかと言えば、思索というものがまた、しようと思って
できるものではない、と。

また、そんな漆黒の夜の銀河の美しさや、晴天のすごいような
空の青に、しばしば言及している。猛烈な風雨には、天変地異は
人間の営みの反映とも。

きょうは、朝から猛烈な風。曇っているかと思えば、すっきり晴れ
渡る。雲はびゅんびゅんと飛んでいく。台風の影響だけど、山田さん的
には、ちょっとクールダウンしようよ、日本人、かな。