わたしは妙義山が大好き

父は、母のことが心配でならない。物忘れがひどいのをさかんに
気にする。何か買い忘れたと言っては、一日に5回も自転車に
乗って買い物に行くんだ、などと言って。
「いつもそんなに見張られて、お母さんも息苦しいんじゃない?」
と言ったら、苦笑していた。

きのうちょっとドライブしたけれど、このあたりは、本当に
関東平野のどん詰まりだということがよくわかる。
東から悠々と伸びた平らな土地が、次第次第に高さを増し、
山々に収斂していくさまが好きだ。
それが、このあたりでは、はっきりとわかる。

そして、荒船山から妙義山榛名山赤城山へと続く美しく雄大
稜線。
その後ろに優美な姿の浅間山。(浅間に雲がかかっていると風が
吹くんだ)
少し東に行けば、榛名山の横の後方に、雪化粧の谷川岳も見える。

妹が子どもに「よく見ておきなよ」と言う。
彼女は大阪でひとり、群馬県のイメージ向上のため、孤軍奮闘
しているそうだ。(かの地ではすこぶるイメージが悪いらしい。
なぜだ?)
「こんなところに家建てて住みたいな」と妹。
「窓を開けると浅間と妙義!」
「でも、それだけじゃね」とわたし。
山見ているだけでは、ご飯は食べられないもん、と言葉には
しなかったけど、思いは同じだったはず。
「なんで大阪に住む羽目になったのかな」と妹。

9月の中旬くらいからついこないだまで、あちこち痛かったり
違和感があったりしていて季節を味わう余裕がなかった。
気が付けば、もう秋もかなり深まっているのに、改めて驚く。