人形町界隈

けさスクーリングに向かう電車の中で洲之内 徹の
「気まぐれ美術館」を読んでいたら、人形町の、大学
の東京キャンパスあたりのことがでていた。
新しいビルだらけだけど、たった一件、本のまま、いい
感じの刃物店が残っていた。
爪切りを買った。

お昼に散歩していたら、親子丼発祥のお店を発見。
噂どおりの大行列だった。
見物するだけ。

この本にはときどきびっくりさせられる。

25年くらい前、新宿南口に、まるでそこだけ時間が
止まったみたいな一画があった。ねじれたいびつな
細い階段の上に、小さな広場があって、そこに、2、
3件の小さな焼き鳥屋みたいなのが建っていた。
そのときから、ここだけ戦前みたい、と思っていた。
そこはいま、かっちょいいテナントがたくさん入った
ビルの前の広場になってる。

松本シュンスケ(活字がないのでカタカナで失礼)
という画家の絵の背景に使われているとかで、
その場所のことが出てきたのだ。
少し先に場外馬券場がある。いろんなことを思い
出した。

もうひとつ、洲之内さんがが亡くなったとき、池袋の
素朴なキリスト教会で葬儀が行われたと、文庫の
あとがきに白州正子さんが書いている。わたしは、
東京に出てきてすぐの頃行ったことがある、池袋
西教会ではないかなと思った。

スクーリングも4日目がもう終わった。
たった8人と先生の間には、早くも連帯感みたいな
ものがでてきていて、おもしろい。
そういえば、神戸からきているひとりのおじさまが
その昔池袋に単身赴任していて、わたしが働いて
いたのと同じビルに、よく出入りしていたとか。

モデル嬢は、2日目からいくらか体調回復。
でも、相当、暖房を高めているせいか、常に眠い
らしくて、顔みるといっつも、とろんとしてるかウト
ウトして、目をつぶってぐらぐらしてるんだ。
で、顔が描けやしない。プロ意識は?かわいく描き
たくても、無理だぞっ。

わたしたちは服着てるから、もっと暑い。絵の具や
油の匂いもあって、息が詰まる。
モデルさんのこともあり、ブラインドも窓も開けられ
ないし。

わたしの隣りにイーゼルを構えているおばさまの
作品には、早くも顔に目鼻がついている。でもでも
それが、モデルさんじゃなく、描いているおばさま
本人にそっくり。
わたしも気をつけよ。