一期一会

友だちの父上のお葬式に列席した。
看病の合間に何度か短いメールがきていたのと、
働いている場所と実家が遠いのはわたしもおんなじなので、
気安く話せる人がいなくて寂しい思いをしているのではないか
と想像したこともある。だから、余計なことかなと思いつつ、
出かけた。

会場に着き、おろおろしていると
彼女のほうからわたしを見つけてくれた。
「本当に来てくれたんだね!」って泣き笑いの顔で。
少しだけれど話もできて、ちょっとは助けになったみたい
だった。ほっとした。
彼女の弟さんの婚約者という女性も列席していたけれど、
いささか心細そうだったので(わたしもさ)、彼女とふたり、
末席にいた。

帰りのタクシーも東京までの特急電車も、ずっと彼女と一緒。
名古屋の獣医さんとかで、しゃべりっぱなし。
彼とのなれそめ、今の仕事、結婚のこと、とかとか・・・。
おかげで、上野まで、すぐだった。

やりたいことは一つ一つ潰してやっておきたいよね、って話
をしたの。
わたしは、バレエや舞台を観に行くと、どうしてあっち(舞台)
にいないんだ〜と思う図々しい女だ。
で、バレエダンサーと、女優が夢だった、って言いながら、
ふと思いついたの。

1月に恒例のパーティーをやるけど、そのとき、ひとり
パフォーマンスをやるの、どうかなって。
思いつくままそれを彼女に言ったら、名古屋から東京まで
見に来ます、だって。

本当にできたら、すごい。ってゆーか、お客さまには迷惑
だよね。シロートが突然なんかやりだしたらさ。
冷静になれば、そう思うさ。

でも、さっき知り合った人と、そんな話をしたことが
わたしは、むちゃくちゃおもしろかったよ。

いつかまた会おうね、って言って上野で別れた。名字しか
知らないけど、きっといつか会うことになる気がする。